わくわくさん ③
わくわくさん ② の続きです。
仕方なく私は ホテルに入りました。
心はどんより
そんな私を、わくわくさんは「緊張している」と思い込んだようです。
「緊張しなくていいからさっ!」
「あ、みきちゃんの隣に座っちゃおっかな~ よいしょっと!
なんて、なんて!
こうやって、手なんて握ったら、どおかな?!
もっと緊張しちゃう?!逆効果?!それは困るぞー♡」
自分で問いかけ、自分で答える わくわくさん。
私の一番苦手な、落ち着きのない意味なく喋り続けるひと・・・・。
私は、握られた手を優しくほどきながら
「そうなんです、緊張しちゃうんですよね私・・」
と部屋を真っ暗に ピピピとボタン操作。
「え~~~!みきちゃんっ!これじゃ何にも見えないよぉぉ~!
不服申し立てっ!
不服申し立ていたします!裁判長!なんつって~
みきちゃんがそうしたいなら、くうん、我慢しよっかな、しくしく」
何も見えなくていいんです。
何も見えないから、違う人としてると思えば・・
私だって必死なんです・・・。
とはいえ、恋人とのセックスが合わないことが、出会い系に走った一因でもあったし
当時はカラダの関係がある特別な人もいなかったので
「誰としている妄想にすれば気持ちをごまかせるか」
を考えても ちっとも思いつきません。
目が慣れても シルエットくらいしか見えない暗闇で
キスをされても、胸を愛撫されても、
・・・あ~・・・やだ~・・・・早く帰りたい・・・
とばかり思ってしまう、最悪のセックス。
好きな人とのセックスは あんなこと こんなこと いろいろ書いてしまうのに
わくわくさんとのセックスの記憶は、脳が拒否しているのか、あまり思い出せないんです。
私はとっても濡れやすくて、それが悩みの種でもあるのですが
こんなに嫌な気持ちでも、ちゃんと濡れるんです、とっても。
わくわくさんは、勘違いでとても嬉しかったみたいで
割と早い段階で挿入
腰を振りながら「ハッ!」とサンバのように合いの手を入れるように叫びながら
早めに終わってくださいました。
すぐにシャワーに入って服を着て帰りたい私に
「女の子はセックスの後のまどろみが好き」とばかりに
腕枕を促す、わくわくさん。
仕方なく、出してくれた腕に、頭を乗せます。
「そうそう、あのね、僕ね、結構有名なブロガーなんだよ」
話の流れから、急にどこに用意してあったのか、自分の携帯を持ち出して
ブログを私に見せ始めます。
タイトル一覧には「孫ちゃんの誕生日」という文字があり、思わず
「やっぱり、おじいちゃんですよね?!」
と 声高らかに「やっぱり」などと口にしてしまった私。
そうだよ、だってどう見ても、おじいちゃんだもの。
私はやっと胸のつかえがおりて
「おじいちゃんなのに43歳なわけないじゃないですか(;''∀'')」
「もうひどいんだから。お孫さん待ってますからね、帰りましょう」
と 優しくでも強気で 帰り支度を促します。
その夜
「また今度お願いしちゃいます。いいかな?いいとも!なんてね」
というメールが来ましたが
一切返信していません。
わくわくさん。私の出会い系の黒歴史でした。おわり。
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